高齢者の夜間こむら返り対策|ビタミンK2で頻度1/3へ

明け方に足首やふくらはぎが急につって目が覚める――高齢者に多い「夜間こむら返り」。若い頃は平気だったのにと老いを感じる瞬間です。ゆっくり伸ばしたり立ち上がったりと何とかやり過ごすものの、「これがなければいい気分で朝を迎えられるのに!」と。そこで撃退法を徹底調査しました。文献と実体験を踏まえた私の結論は「毎日、ビタミンK2」。今回は、その科学的根拠と実践のコツをわかりやすくまとめます。

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従来いわれてきた対策

一般に推奨されるのは、

① 水分と電解質(特にマグネシウム/カルシウム)の最適化
② 足を冷やさない
③ 就寝前のふくらはぎストレッチ
④ 発作時の芍薬甘草湯
⑤ L-カルニチンなどの医薬品

私自身は一通り試しましたが、改善を実感できませんでした。ただし、脱水・冷え対策とストレッチは再発予防の土台。まずは生活習慣として続ける価値があります。

厳密なヒト試験でビタミンK2が有望

2025年10月現在、医薬品レベルの厳密なこむら返り軽減効果の確認が取れているのは、以下のヒト試験のみでした。
65歳以上199人で、ビタミンK2 180 μg/日カプセルと偽薬を8週間比較したランダム化プラセボ対照試験では、K2群で次の改善が報告されました(出典1)。

  • こむら返り頻度:約1/3に減少
  • 持続時間:約1分未満に短縮
  • 痛み強度:低下

効果発現の目安:摂取開始約10日で最大効果の約50%4週間最大効果(100%)に到達とされています。

効果を確実に実感したい人は、サプリメントのビタミンK2 180 μg/日のソフトカプセル(ソフトジェルと表記されることもある)を選びましょう。摂取タイミングは脂質多めの夕食時がおすすめです。理由:ビタミンK2は脂溶性のため、油に溶かして封入するソフトカプセルは吸収効率がよく、また夕食とともに摂ると胆汁酸分泌が高まり吸収が促進されるためです。なお、この有効量は一般的な1日摂取目安量より多いので、粒数を調整してください。論文では「約10日で50%の効果発現」とされていますが、私は摂取開始の翌朝から効果を実感しました(私の場合は緩やかな糖質制限中で、ファットアダプテーション期に現れるこむら返りだったためかもしれません)。

8週間後、効果が安定したら長期の安全性の観点から、サプリメントからビタミンK2を豊富に含む納豆に切り替えましょう。日本食品標準成分表では、糸引き納豆1食あたり約240 μg、ひきわりで約370 μg(出典2)。つまり納豆1パック/日で、試験で使われた180 μg/日を十分にカバー可能です。晩ごはんに“納豆習慣”でOK。

まず8週間発作頻度・発作持続時間・痛みの3指標をメモして変化を見てください。

実践と安全のポイント

  • 量とタイミング:ビタミンK2ソフトカプセル(または納豆1パック)を夕食時に。
  • 併用:就寝前ストレッチ、日中のこまめな水分・電解質補給、足元の保温、過度の飲酒を避ける。
  • 注意
    ワルファリン内服中の方は、ビタミンK2・納豆の摂取を控えてください
    ・こむら返りの頻発・悪化しびれを伴う場合は、単なる加齢性こむら返りではなく末梢神経障害薬剤性障害などの可能性があります。医師に相談してください。

まとめ

夜間こむら返りの土台対策は「脱水と冷えを避け、筋を柔らかく保つ」こと。そのうえで、“K2サプリ習慣”を8週間トライし、頻度・持続・痛みの3指標で効果を可視化しましょう。効果を実感できたら、その後は夕食に納豆1パック習慣にシフト。

出典

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  1. Tan, J., Zhu, R., Li, Y., Wang, L., Liao, S., Cheng, L., Mao, L., & Jing, D. (2024). Vitamin K2 in managing nocturnal leg cramps: A randomized clinical trial. JAMA Internal Medicine, 184(12), 1443–1447. https://doi.org/10.1001/jamainternmed.2024.5726
    1. の訂正:Tan J, Zhu R. Notice of Retraction and Replacement. Tan and Zhu. Vitamin K2 in Managing Nocturnal Leg Cramps: A Randomized Clinical Trial. JAMA Intern Med. 2025;185(7):904. https://doi.org/10.1001/jamainternmed.2025.2160
  2. 日本食品標準成分表2020年版(八訂)
    https://www.mext.go.jp/content/20201225-mxt_kagsei-mext_01110_012.xlsx
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