血糖スパイクを抑えて昼の眠気ゼロへ。続けやすい「ゆるやかな糖質制限」

ここ数年、私は「昼間の強い眠気」と「将来の介護を避けたい」という二つの悩みに向き合ってきました。解決の糸口になったのが、北里大学病院・糖尿病センターの山田悟センター長が提唱する「ゆるやかな糖質制限(ロカボ)」です(出典1)。実践後、午後のガクッと来る眠気が明らかに減り、1日の生産性が上がりました。

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食後高血糖って何?

食後2時間の血糖が140mg/dL以上に急上昇する状態で、「血糖値スパイク」とも呼ばれます。急上昇の後にインスリン過剰→急降下が起きると、脳の燃料不足で眠気や倦怠感が生じます。これは糖尿病だけでなく“予備群”でも起こり、血管内皮ダメージの蓄積は動脈硬化(脳卒中・心筋梗塞)を引き起こします。

食後高血糖を食べ方で抑える=ゆるやかな糖質制限(出典1)

ポイントは順番
:1食あたり糖質20〜40g、間食は1日10gまで、合計70〜130g/日。
順番:まずたんぱく質・脂質(鶏肉・魚・卵・チーズ・ナッツ、オイル+野菜)を食べ、30分前後後に控えめの炭水化物。消化管ホルモンや胃排出のスローダウンで、同じ糖質でも血糖の上がり方が穏やかになります。

続けやすい理由(ここが大事)

「ゆるやかな糖質制限」は糖質を控える代わりに、カロリーを数えずたんぱく質・脂質は満足するまでOKが基本。これらは満腹感が高く(よく噛む/消化がゆっくり/満腹シグナルが出やすい)、大食いに至りにくいため、ストレスが少なく続けられます。赤肉・加工肉や揚げ物の食べ過ぎ、塩分過多にだけ注意すれば、“我慢しないで続く”のが最大の強みです。

食後高血糖を起こしやすい食べ方の例

空腹の体に「糖だけ」を一気に入れるとスパイク化。例:果汁100%オレンジジュース+シリアル+低脂肪ヨーグルト(脂肪含量が多いヨーグルトだと高タンパク質高脂肪でGOODになる)、スムージーだけ、低脂肪ヨーグルト+蜂蜜トッピング、麺類・おにぎり単品、ラーメン+炒飯など。どうしても食べるなら先にたんぱく質・脂質+野菜を。

朝食(絶食後食)は特に工夫を

絶食明けは血糖値が上がりやすい時間帯。鶏肉、魚、卵、チーズ、やナッツ、サラダ+オリーブオイル→最後に少量の糖質を徹底。朝食抜きはその後の昼・夕の食後高血糖を悪化させます(出典2)。16時間断食でも「明け」の糖質のみはNGです。

期待できるメリット

  • 午後の眠気が減る:血糖の乱高下を抑え、脳のエネルギー不足を回避。
  • 動脈硬化リスク低減:内皮障害の蓄積を抑える方向に働く。
  • 加齢に伴う認知機能低下への備え:高齢者で“低〜中等度の低糖質食”と認知機能の関連が報告(関連で因果は未確証、出典3)。

見える化で定着

行動を変えたら、持続型グルコース測定器(リブレ等)で自分の反応を把握すると、納得感が高まり継続が楽になります。外食は「主菜(鶏肉・魚・卵)+野菜+ドレッシング→主食少なめ・最後に」の順番を合言葉に。

参考記事:微小血管を守れ!24時間血糖値測定器で「食後高血糖」を見える化

安全に始めるために

糖尿病治療中、低体重・食欲不振、腎機能低下などがある方は主治医に相談して調整を。極端ではなくゆるやかに、が長続きの秘訣です。

まとめ

  • 食後高血糖は眠気と将来の介護リスク(脳卒中・心筋梗塞)に直結。
  • 量(70〜130g/日)順番(たんぱく質・脂質→後から少量の糖質)でスパイクを抑える。
  • カロリー計算なしでたんぱく質・脂質は満足するまでOK。高い満腹感で無理なく続く
  • 朝は特に順番を守る。朝食抜きは悪化要因(出典2)。
  • 持続型グルコース測定器で見える化し、あなた仕様に微調整。“我慢しないで続ける”が最短距離です。

健康ナビの特長

出典

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  1. 山田悟, 2024, 「糖質疲労」, サンマーク出版 有料
  2. Daniela Jakubowicz et al., 2015, “Fasting until noon triggers increased postprandial hyperglycemia and impaired insulin response after lunch and dinner in individuals with type 2 diabetes: a randomized clinical trial” Diabetes Care. 2015 Oct;38(10):1820-6. doi: 10.2337/dc15-0761. Epub 2015 Jul 28. 無料
  3. Jakob Norgren et al., 2023, “The Dietary Carbohydrate/Fat-Ratio and Cognitive Performance: Panel Analyses in Older Adults at Risk for Dementia” Curr Dev Nutr. 2023 May 7;7(6):100096. doi: 10.1016/j.cdnut.2023.100096. eCollection 2023 Jun. 無料
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