最期まで自立生活のための食習慣:ハーバード式健康食事法/AHEIとは?

高齢になっても自分の足で歩き、自分の意志で生活を続けたいと願う方は多いでしょう。その鍵を握るのが、日々の「食習慣」です。近年、ハーバード公衆衛生大学院が提唱したAlternative Healthy Eating Index(AHEI)が注目を集めています。この指針は、寿命を延ばすだけでなく、健康に生きる期間=健康寿命を伸ばすための科学的な食事法です 。

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AHEIの特徴:食品の「質」に注目

AHEIの特徴は、単に「野菜を食べる」「カロリーを抑える」といった一般的なアドバイスにとどまらず、食品の“質”に徹底してこだわる点です。例えば、ブロッコリーやほうれん草、人参といった色の濃い野菜の摂取が推奨されています。これらは、老化や病気のリスクを下げるとされています。

避けたい食品:健康寿命を縮める要因

1. ジャガイモと精製炭水化物

一見ヘルシーに見えるジャガイモですが、ほぼ純粋な糖質でできており、摂取後に血糖値が急上昇します。その結果、微小血管が傷つき、老化細胞を掃除する免疫細胞の働きが妨げられ、老化が進む可能性があります。また、白パンや白米などの精製炭水化物も同様に血糖値を急上昇させるため、注意が必要です。

2. 果物ジュース

自然のままの果物は健康的ですが、ジュースにすると食物繊維が取り除かれ、糖質が急速に吸収されるため、血糖値が急上昇し、血管を傷める可能性があります。果物は「そのまま食べる」のが鉄則です。

3. トランス脂肪酸

マーガリン、加工菓子、揚げ物などに多く含まれるトランス脂肪酸は、血管を老化させ、動脈硬化や心筋梗塞のリスクを高めます。AHEIでは、トランス脂肪酸の摂取を厳しく減点対象とし、可能な限り完全排除することを推奨しています。

4. 赤肉・加工肉

赤肉(牛肉・豚肉のこと、赤み肉ではありません)と加工肉には、ヒトには存在しない糖質であるNeu5Gc(N-グリコリルノイラミン酸)が含まれており、人体で異物(アレルゲン)として認識されて慢性炎症を引き起こすことが報告されています。また、大腸がんや心筋梗塞のリスク増加とも関連づけられており、AHEIでもこれらの摂取は避けるべき食品群に分類されています。

AHEI式の基本原則:今日から始める健康習慣

AHEI式の食習慣で重視すべきポイントは以下の通りです:

  • 色の濃い野菜そのままの果物をしっかり摂る
  • ジャガイモや精製炭水化物を控える
  • トランス脂肪酸や赤肉・加工肉を徹底的に避ける

これらを実践することで、細胞の老化を防ぎ、微小血管を守り、全身の若さを維持することが期待できます。

食事を変えれば、未来が変わる

小さな一皿の選択を変えるだけで、健康寿命は大きく伸ばせます。「最期まで自立して、自分らしく生きる」──その未来を実現するために、今日からハーバード式食事法(AHEI)を取り入れてみませんか?

「ハーバード式 推奨・警告 食品リスト」

チェックリストとして活用してください。

◎ ハーバード式 推奨食品
食品カテゴリ推奨食品具体例
野菜色の濃い野菜ブロッコリー、ほうれん草、人参、ケール
果物繊維を含む丸ごとの果物ブルーベリー、りんご、キウイ、オレンジ
全粒穀物食物繊維が豊富な穀物玄米、オートミール、全粒粉パン、もち麦
ナッツ・豆類植物性たんぱく・良質脂肪源アーモンド、くるみ、大豆、レンズ豆、ひよこ豆
魚介類オメガ3脂肪酸豊富な魚サバ、サーモン、イワシ、さんま
植物油良質な不飽和脂肪酸源オリーブオイル、キャノーラ油、えごま油
発酵食品腸内フローラ改善納豆、味噌、キムチ、ぬか漬け、ヨーグルト
飲料無糖の飲料緑茶、ブラックコーヒー、ハーブティー
適度なアルコール限定的に赤ワイン少量赤ワイン(1日グラス1杯以内)
✕ ハーバード式 警告食品
食品カテゴリ警告食品具体例
精製穀物精製炭水化物白米、白パン、うどん、菓子パン
ジャガイモ高GIの糖質食品マッシュポテト、フライドポテト、ベイクドポテト
果物ジュース液体化された果糖オレンジジュース、リンゴジュース、スムージー
加工肉加工された赤肉ハム、ベーコン、ソーセージ、サラミ
赤肉(過剰)脂肪の多い赤肉ステーキ、焼き肉(牛豚中心)
清涼飲料水砂糖添加飲料コーラ、エナジードリンク、スポーツドリンク
トランス脂肪酸含有食品工業的トランス脂肪酸マーガリン、ショートニング、クッキー、ドーナツ
超加工食品高脂肪・高糖・添加物食品インスタントラーメン、冷凍ピザ、スナック菓子
高塩分食品過剰な塩分摂取食品ラーメン、漬物、市販惣菜
アルコール(過剰摂取)大量の飲酒ビール、日本酒、ウイスキー多量

出典

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  1. Tessier, AJ., Wang, F., Korat, A.A. et al. Optimal dietary patterns for healthy aging. Nat Med (2025). https://doi.org/10.1038/s41591-025-03570-5 無料

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